□■君のこと好きなんだ。■□




彼女は40畳ほどあるクローゼット部屋のドアを開いた。




その気になったはいいが、この場合、おめかしとはどこまで盛っていいものなのか、ひかりは逆に考え込んでしまった。




ハンガーにかかったたくさんの服たちが、ひかりを取り囲み彼女を見つめている。








やっぱ執事さんだから、大人っぽいのとかがいいかな?


それともやっぱ女の子らしく…?





と、キリもなく悩んだ挙句、とどまったのは、七分袖のブラウスにピンクと黒のネクタイを緩めに締め、

ボトムズは少し短めの黒いタイトスカートを履いて、少しシックなのコーディネート。





気がついたら、もうすでに時計は8時を刻もうとしていた。






『ぅわっ、髪型髪型!!』




と、急いで鏡の前に立ったが、長くたらしていても別に似合っていたのでそのまま玄関へダッシュした。







部屋を出ると、廊下にピアノの音色が響いていた。


ぇ…お父さんかお母さんピアノ弾けるんだっけ??

ひかりは不思議に思いながらその緩やかで陽気な音に耳を澄ました。



どうやらこれは1階から聞こえてきているらしい。


なんの曲だろ、これ……すごくルーズな感じで、いいかも…


ひかるは階段を駆け下り、ピアノの音へと近づいていった。




玄関近くまで来て、白いピアノが見えた。

誕生日プレゼントに頼んだグランドピアノだ。


もう届いていたのだ。



そして、そのピアノで悠々とした音を奏でていたのは……





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