□■君のこと好きなんだ。■□
『……誰…?』
ひかりは思わず声を漏らした。
紺色っぽいタキシードに身を包み、楽しそうに鍵盤の上に指を弾ませる少年(?)が、そこにいた。
ひかりの声に気がついたのか、ピアノの音が途切れ、少年がケロっとした表情でこちらを見た。
少し長めの明るい茶髪が揺れ、大きな目と目が合った。
思わずドキっとするひかり。
『ぁ、ごめん、調律してたらついつい弾きたくなっちゃってさっ。
で、君が例のバースデーガールかな?』
少年はそう言うと立ち上がった。
175cmくらぃありそうだ。
ひかりは言葉に詰まったような顔を一瞬だけ見せたが、すぐに答えた。
『は?…そ、そうだけど…あなた誰!?』
『ぼく?ぼくはねぇ…』
ひかりの方へカツカツと歩み寄る彼。
『藤宮いくみ!
今日から君の"執事"だからっ、よろしくねぇー』
そう言って、ひかりの頬に軽くキスをした。
ひかりの頭の中は真っ白しなった。