一途なイケメン浮気性なブス
「優雫ー、朝ご飯よー!」

その声に従うように、私は階段を降りて2階のダイニングルームへ向かった。


「おはよっ!」

ママはいつも朝から元気すぎる。

しかし以前は一時その元気も失われていたのだから、私は今のママの方が少しはいいと思える。


「おはよ…」

一方で私はママに対して素直に感情を表すことができないでいる。
何かを本気で相談したり、怒ったり一緒に笑ったりもしない。

今の同世代の人達も同じなのかもしれない。


しかし、私はママを心のどこかで許せていないのかもとも思う。


朝ごはんを食べると部屋に戻り、髪をとかしてもう一度念入りに歯をみがいた。
そして白いバックを持って玄関に向かった。


靴を履いていると、ママが後ろから声をかけてきた。
「今日から大学生ね。自分の好きなことを見つけて一生懸命頑張りなさい♪」

私はママのほうを振り返らずに靴を履き続けていた。

「優雫ならきっといい夢が見つかるわ!」

ようやく靴を履き終えて、目を輝かせているママに一言だけ、

「行ってきます。」

と伝え私は外へ出た。


「いってらっしゃーい♪」

扉が閉まる前にママの声は外へ飛び出してきた。
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