淋しがりやのルビー
*
「そのジュース初めてみる」
「へ?」
翌日の昼休み、教室で友達の静(シズカ)と菜々(ナナ)と3人でテーブルを囲んでいたら、
静が言いだした。
静はバレー部所属の背の高い細身の女の子で、ショートヘアがよく似合ってる。
ご飯をがっつり口の中に詰めながらしゃべるあたりが彼女らしい。
「そのジュースって、これ?」
パンを食べながら――吸血鬼だって人と同じものを食べることもできるのだ――飲んでるパックジュースを持ち上げて、訊いてみる。
「うん、そう、そのトマトジュース。トマトジュースなんて飲まないからかもだけど、見覚えないなぁって思って」
「ホントだ。見たことないような……? でも、トマトジュースを飲んでる人自体、珍しい気がするけど」
菜々も言う。
菜々は背が低くて、肩まで伸ばした髪の毛をハーフアップにしている。
赤い太淵のメガネが可愛い。
「そう? あたし、トマトジュース好きなの」
にっこり笑って言いながらも、内心は心臓がバックバク緊張していた。