淋しがりやのルビー
「そういえば、ちょっと寒いな。ありがとう」
ちらっと後ろを見ると、腕をさすりながら笑う神藤くんが見えた。
すぐに窓に向き直り、今度はカーテンを引く。
電気をつけていない室内が薄暗さに覆われる。
あたしは自然の暗さが落ち着くから好きだ。
神藤くんと言えば、カッコいいと女子のあいだで話題の男子。
大きな黒い瞳にすらりとした鼻筋、細い顔つきに体。
女の子みたいに細く、さらさらした黒髪。
本来なら、彼のそばにいて、ドキドキとときめいているのが女子としてあるべき姿。
だけど、あたしは違うことでドキドキしていた。
――神藤くんの血が欲しい。
こんなことを考えてしまうあたしは、少しどころじゃなく、おかしい。
普通の高校生のふりをして、この高校に通っているけど、本当は何回目の高校生活なのか覚えていない。
人の血を糧にして生きる吸血鬼。
それがあたしの本当の姿。