淋しがりやのルビー
振り返って神藤くんを見ると、まだ席に座って、眠そうにあくびをかみ殺してる。
その口元よりも、やっぱり首筋に目を吸い寄せられる。
ああ、欲しい。
その思ったとき、見ていた首が動く。
視線を上げると、神藤くんが首を傾げていた。
「どうかしたか?」
「ううん、なんでもない。あ、ちょっと喉渇いちゃって、飲み物ないから急いで帰るね」
自分の席に駆け寄り、荷物をまとめるとかばんを肩にかけた。
今日はすぐに戻ってくるつもりで、かばんを置いて図書室へ行ったんだけど、思ったよりも長居してしまったんだ。
そのせいで、神藤くんと一緒にあたしのかばんも教室に取り残されていた。
「水ならあるけど、飲むか?」
「え?」
神藤くんを見ると、机の横においたスポーツバックからペットボトルを取り出している。
「ほら」
わざわざ立ち上がって、あたしのそばまで来て、そのペットボトルを差し出す。