淋しがりやのルビー


「ただいま」


クリーム色の壁に赤茶色の屋根。


こじんまりとした一戸建てが今のあたしの家。


靴を乱雑に脱ぎ捨てると、まっすぐキッチンに向かう。


「ママ、あれ、ちょうだい! あれ!」


流しの前に立っていた美人のママが振り返る。


大きな黒い瞳、小さな鼻と口、腰までまっすぐ伸ばした黒髪、皺ひとつない張り
のある肌。


カットソーにジーンズ、エプロンなんてラフな姿をしていても、華を感じる。


そんなママと横に並んで歩いていると、母親じゃなくて姉に間違えられる。


それほど若々しいママ。


それも、当然。


「ほら、飲みなさい」


ため息をつきながらママが冷蔵庫から取り出したのはトマトのパックジュース――に見せ
かけた血液。


「そんな混ぜ物ばっかり飲んでないで、あんたも狩りしてきたら?」


ママはストローをさして飲みだしたあたしに呆れた目を送る。


「狩りって、人から血を吸えってこと? いや」

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