淋しがりやのルビー

その頃の吸血鬼に比べたら、あたしなんて話にもならないくらい力が弱いんだと思う。



血を飲みながら、洗面所まで移動して、鏡を覗き込んだ。


そこに映る平凡な顔。


小さな焦げ茶の瞳に少しふっくらした丸い顔。


焦げ茶の髪も母親のそれほどはサラサラでも艶やかでもない。



イギリスで生まれたパパは金髪碧眼で、男らしく鍛えられた体に整った顔立ちをしていて、美男にあたる。



吸血鬼の人種――吸血種?は、人で言う『人種』とは関係ないから、日本で生まれたから黒髪黒目とは限らないけれど、人に紛れるために生まれた地域の人の特徴をもって生まれることが多い。


そのため、ママは日本人、パパはイギリス人の容姿をしている。


そんな二人から生まれたあたしはハーフらしい見た目でないとおかしいから、黒髪ではなく焦げ茶の髪と瞳で生まれたようだけど、

どうせなら顔立ちももっと似せてほしかった。



自分の顔に触れて、ため息をつく。


吸血鬼の美しさは力の強さをあらわしている。

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