黒猫前奏曲
私はいつからそんなに有名になったのだろうか。

「南高の学祭で行われたミスコンで、一年生ながらグランプリを取ったから、他校でも君は有名なんだよ」

そういう意味か、と私は納得した。
去年の学祭で、私は自分のクラスの催しをやらなくてもいいという条件として、ミスコンに出場しただけだ。別にやりたくてやったわけじゃなく、今でもいい思い出ではない。

あれから、ストーカー紛いのものが増え、ボスに何度家まで送ってもらうようになったのだか。

私は遥か過去にタイムスリップしていた。

「でも、あの時の仮装衣装かわいかったよね」

「あぁ、あの黒猫の衣装。耳を生やして、しっぽつけて可愛いかったよね。最初は仮面付けてわからなかったのに、中央にたった瞬間に仮面を外してさ。あれは演出か?演出だったのか!?」

ズイと弥生が私に顔を近づけてくる。目は真剣そのものだ。

「衣装はくじ引きで引いただけ。仮面は鬱陶しくなって途中で外したんだよ」

そう呆れながら話すと弥生はふくれっ面で猛攻撃しようとするが、それは黒髪少年によって阻まれた。

「それからだよね。黒澤さんの二つ名が“ブラックキャット”になったのは…」

「そうみたいね。私も気に入ってるからその呼び名好きよ。ところで、私のことそんなに調べてどうするつもり、ストーカーさん?」


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