黒猫前奏曲
最後の言葉に黒髪少年は手を口元に当てクスクスと笑った。

「ストーカーなんて初めて言われたよ」

「あらそう?人のバイト先にまで様子を見にくるなんて、ストーカー以外になんと呼べばいいのかしらねぇ?」

その言葉に今まで黙っていた弥生が口を挟むのを再開させた。

「久志、ストーカーだったのか?俺は久志はいい奴だと思っていたのに!犯罪だろ、犯罪!!」

黒髪少年、久志は弥生の発言に頭を抑える。

「弥生がいると会話が脱線するし、ややこしくなる」

「同感だな」

私は久志に賛同した。

「まぁ、ここで話すと迷惑になるから俺らと一緒に来ない?」

確かにここは静寂を保つ住宅街。これ以上騒ぐのは申し訳ないと思った。

「わかった。でも、どこへ行くの?」

尋ねる私に、2人と会ってからほとんど話すことがなかったミッチーが口を開いた。

「溜まり場」

「“溜まり場”って?」

そんな曖昧に言われてもわかるわけがない。

「俺たちがいつも集まる場所だよ」

すかさず久志がフォローしてくれる。

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