紅蒼の空
白色の世界

夏の終わり


 俺は……
 「あいつ」が憎い。

 この世界中の誰よりも。
 だけど、「あいつ」は……

 この世で一番大切で、
 一番失いたくない奴なんだ。

 それは、とても罪深いという事もわかっている。

 だから……
 だから俺は……
 どうすればいいんだ−−



「うるせぇ!」

 そう叫びながら椅子から立ち上がる男。それと同時に−−

「うわっ! な、何?」

 と言って半歩下がる女生徒。

「ん……なんだ。夢か」

 はぁ。と、ため息を軽くつくと、男は周りをキョロキョロと見渡し始めた。




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