紅蒼の空
「ん? それ、彼女に言うセリフ?」

 付き合っているのだ。

「すいません。天使の間違いです」

 廉の二の舞になるのを恐れたのか、即答だった。

「素直でよろしい」

 にこやかにそう言うと、明日香と桐原は、並んで影がある所に座った。

「ふわぁ……なんか眠たくなってきちゃった」

 宏輝に寄り掛かり、目を閉じる明日香。

 ああ。
 なんて平和なんだろう。
 ずっと……こんな日々が続くといいな。

 そして、この温もりを独り占めしたい。
 誰にも渡したくない。
 誰にも……

 そう思いながら、宏輝も静かに目を閉じた。



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