感覚のレベル【BL】
 
 付けたして言うならば、彼無しで今の僕はなく、僕なしでは今の彼はあり得ない。

 そんな関係。

 趣味が違えど好みが違えど、そんなこと、僕等には何ら関係はない。

 むしろ、その方が均衡が保てるってもんだ。

 人間は無い物ねだりをするから。

 僕にないモノを彼が持っていて、彼にないモノを僕が持っている。

 偉そうに語れるコトじゃないけれど、それは暗黙の了解。

 僕と彼との共通の認識。

 自惚れや何かからくるのではなく自信からくる確信だ。

 最後の一口を飲み干して、一也と同じく缶をつぶす。

 あまり、意味の無い行為だった。
 
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