感覚のレベル【BL】
「缶よこせよ。捨てるからさ」
握りしめていた缶を渡す。
彼の指が微かに触れて、ゾクリと背筋に緊張が走った。
……まずいなぁ……。
なんとなくイヤな気がしてきて、誤魔化そうと丸まった雑誌を手に取った。
何となく開いたのはやっぱり華燐のページで。
何となく目が行くのもやっぱりあの写真で……。
一度自分の世界に入るとなかなか抜け出せないのが僕の悪い癖みたいだ。
おかげで、一也が僕の背後に来ていたことに気付かなかった。
「お前さぁ……」
「……ん?」
僕は何気なく返事を返す。