感覚のレベル【BL】
 
 分かっているからこそ、なんて返事をしていいのか理解らない。

 細腕にぎゅっと力が込められる。

 首筋を這っていた舌は、ゆっくりと鎖骨まで動いて……。

 はねている黒髪が、僕の首をくすぐる。


「ちょっと、待てよっ」


 もう、我慢の限界。


「いやだ」


 まるでだだをこねる子供のように、僕にしがみついたまま離れようとしない。


 ――これは、僕の負けだ。


 一也は素直じゃないから。
 
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