感覚のレベル【BL】
 
 少し間を置いてから、おずおずと僕から離れてくれた。

 普段の一也からは想像も付かない態度だ。

 僕は優越感に浸りながら、そっと彼の手を取る。

 厚みのない一也の手は、握りしめたら壊れてしまいそうだ。

 表情を覗き込むように近づいて、そっと、紅い口唇に触れる。

 たったそれだけで離れようとする僕を一也が捕まえた。


「睨むなよ」


「睨んでなんかいねぇよ」


「怒った?」


「……別に」
 
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