Hearts! 【BL】
Fifth
ラーンの説得の甲斐もなく、ついに『公開決闘』前日。
周りが慌ただしく動き回っている中、ラーンは重い足取りでヴァレリスの部屋のドアをノックした。
彼に呼ばれたのだ。
「……失礼します」
──絶対に怒られる。
意を決して、彼はヴァレリスの顔を見た。
「ご苦労様。ラーン」
──怒っていない!?
それどころか、彼は笑っている。
何が何だかわからないラーンの手を取って、彼はぎゅっと握った。