Hearts! 【BL】
彼の顔は逆行と髪がかかってよく見えないけれど、決して笑んではいない。
何かをこらえているような。
「……僕の、負けだね。ねぇ、何でそんな顔するの? 勝ったんだから、喜んでよ」
闘技場からの通路を行くクロードの前方で、ジュネスが壁に寄り掛かっている。
「随分早く決めたね。もっとも、私がラーンと当たってもそうしただろうけれど。……浮かない顔をしているねぇ。今更後悔しているのかい? 君自身が考えたことだよ」
「──分かってる」
低く答えて、クロードはジュネスを睨んだ。
「お前には負けない」
「私だって。君に負ける気はない」
──後一日。明日になれば、決着が付く。
クロードはそう自分に言い聞かせて、通路を歩いて行った。