らぶきゅん
なんの偶然か、次の日寝坊したあたしは、どうせ間に合わないのでいつもよりかなり遅い電車に乗ると、昨日話した高原郁也と鉢合わせすることになった。
向こうもあたしに気付いているようで、数秒目を合わせた。
先に口を開いたのは高原だ。
「原田…だっけ」
いきなり話し掛けられたのに驚きつつ、「うん」と答えた。
「昨日兄貴が話したって言ってた」
「昨日家に来たんだよ」
「なんで?」
細い眉をぴくっと動かす高原。
…毛穴が全然ない。
「あたしの兄ちゃんと仲がいいから。」
「ああね。付き合ってんのかと思ってた」
高原の言葉に、あたしは呆れて笑った。
「ないない。まず裕也の友達とか論外だから」
「ふーん…」