やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・・・・・真木さん?さすがにこれはまずいんじゃないですか?」
倒れたポチと庭に転がるボールを見ながら、真木ヒナタに言った。
「ん?ああ、大丈夫だって。それ、ゴムボールだから。」
真木ヒナタの言葉を聞いて安心する私。
それにしても、ポチは、いっこうに起き上がろうとしない。
サルが、庭に転がったボールを拾い、深刻な顔で私の元へとそのボールを持ってきて渡す。
「・・・・真木さん。・・・これゴムボールじゃないですよ?」
私がサルに渡されたボールは、明らかにゴムの柔らかさはもっていなかった。
というか、どうみても軟式野球のボールだった。
「そんな訳ないだ・・・・・あれ、俺の左手に投げたはずのゴムボールが・・・・」
真木ヒナタが、左の手を広げると、そこにはゴムボールがあった。