やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・わかりましたから、それじゃ、行きましょうか?」
私は、適当にあしらい、門から出ようと歩き始める。
「小夜、ところで何で行くんだよ?」
「何でって・・・歩いてですけど?」
この1ヶ月で組と私が住んでいたアパートの位置関係は、わかっていた。
歩いても、40分くらいで着く距離。
・・・・・・確かに40分も歩くのはきついけど、他に方法がない以上、我慢するしかなかった。
「俺、歩くの嫌だぞ?」
本当に嫌そうな表情の真木ヒナタ。
「・・・・他に方法がないんですよ。」
「車使えばいいじゃん。」
「・・・・あの~・・・一応、私用なんで組の車は使えないですし・・・。」
「俺、幹部!車持ってる!」
なぜか急に片言になり、優越感に溢れかえった表情で私を見下す真木ヒナタ。
そして、その真木ヒナタの言葉とほぼ同時に1台の黒塗りのベンツが、門の前に止まった。