やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
第12節:ガス爆発
「それしても見事に何もないな・・・」
組長は、車を降りて、空き地を見渡しながらつぶやく。
「・・・・・・・はぁ~・・・・・」
私は、ため息をつくことしかできない。
「あれ?小夜ちゃんじゃない?」
私は、いきなり後ろから声をかけられ振り返る。
そこには、私が小さい頃から知っている、アパートの前の一軒家に住んでいるおばさんが立っていた。
「あっ、おばさん!お久しぶりです。」
私は、頭を下げて挨拶をする。
「心配したのよ、小夜ちゃん?アパートがあんなことになって、小夜ちゃんのご家族の姿を誰も見てないって噂になって・・・。」
「すいません、おばさん。・・・・お父さんとお母さんは・・・1ヶ月前に亡くなったんです。」
「・・・・そう・・・・だったの。」
絶句するおばさん。
私の母親とよく井戸端会議をしていたおばさんなだけに、そのショックは見て取れた。