やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・私、運がよかったのかな・・・・」
私は、真木ヒナタから視線を外し、独り言をいう。
アパートを出て、ホームレスになったおかげでガス爆発に巻き込まれなくてすんだと考えれば、ヤクザがアパートに乗り込んできたこともある種の幸運のひとつとも考えることができた。
「・・・もしかして・・・・お父さんとお母さんが・・・守ってくれたのかな・・・・」
なんとなく車の天井を見上げながら、つぶやく私。
「・・・う~ん。残念ながら、そんな簡単な話じゃないと思うぞ?」
組長が、運転しながら私に言った。
「どういうことですか?」
私は、意味が分からずに組長に聞く。
「・・・・やくざと揉めたアパートが、ガス爆発って・・・都合よすぎだと思わない?」
組長ではなく、真木ヒナタが答えた。
「・・・・というと、まさか・・・故意にガス爆発を起こしたと?」
私は、隣の真木ヒナタを見た。
「・・・まぁ~証拠がないんじゃ、わかんないけどな。」
真木ヒナタは、肩をすくめる。
「ところで、小夜のアパートに乗り込んできたヤクザは、どの組の奴だ?」
組長が私に聞く。