やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・いや~・・・小夜の奴がわがままでさ。龍一に無断で外出するわけには行かないって言ってるのに、どうしてもついてきてくれってきかなくて・・・まったく小夜もかわいいところあるよな。」
相変わらずの組長のとんでもない言い訳。
当然、私は、執事に向け、首を横に振っている。
その私の行動を見た執事は、ため息をつくと、いつも通りの鉄拳制裁のためにコブシを握る。
「あわわっ・・・え~っと・・・あっ、そうだ!実は、小夜の住んでいたアパートがなくなっていたんだ!それで、行ったんだよ。」
組長は、鉄拳制裁を避けるために必死に執事に説明をするが、事実とは、順番が異なった説明だった。
「・・・どういうことか説明してもらえますか?」
執事は、私を見て言った。
私は、一度アパートに戻るために真木ヒナタと組長についてきてもらって、それで、実際、到着するとアパートが火事で焼けていたことを説明した。
「そうでしたか。それなら、しょうがないですね。・・・それにしても、ヒナタさんと組長が、小夜さんのために行動するとは、成長しましたね。」
執事が、うれしそうな表情で真木ヒナタと組長を見た。
「当然だろ。俺は、困っている人を助けるのが趣味なような男だぜ。」
組長は、先ほどまでの取り乱した様子から一瞬で胸を張って威張った様子へと変貌していた。