やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「そうでしたか。・・・あの時の。」
執事は、少し懐かしそうな表情をする。
「まぁ~、寝てるんじゃしょうがないな。」
真木ヒナタは、そう言うと、部屋を出て、どこかにいった。
「それにしても、小夜さん、私に言ってくれれば、無料でボディガードを引き受けましたよ。みずくさいですね。」
「・・・・龍一さん。」
私を優しい微笑みで見つめる執事を、私も見つめる。
「・・・・あの・・・・俺も。」
私は、いきなり背中で声がして、振り返るとサブが立っていた。
(・・・そういえば、サブさんにこの部屋まで案内してもらったんだった。)
私は、サブの存在を忘れて、執事と見つめ合ったことが、恥ずかしくて、顔が赤くなるのがわかった。
「ところで、何が俺もなんですか?」
執事がサブに聞いた。
「えっ、あ、お、俺も執事さんと同じで、無料で小夜のボディガードします。」
サブが、恥ずかしそうに視線をキョロキョロさせながら言い切った。