やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・・今、耳の横をキュンッって何か通っていったんだけど・・・・。」
組長は、そう言いながら、後ろの壁を見る。
組長の目には、銃弾によって穴の開いた壁がしっかりと捉えられていた。
「・・・・・撤収、撤収!」
組長は、叫びながら、部屋を出て走り去っていった。
「・・・・助かりました、ヒナタさん。」
執事は、持っていた拳銃を真木ヒナタに返す。
「ほら、役に立っただろ?」
「そうですね。」
真木ヒナタと執事は、顔を見合わせて笑いあっていた。
私とサブは、その様子を呆然とした表情で見ていた。
(・・・・相変わらず、無茶な・・・)
私は、そう思いながらも、そこまで驚かなくなった自分に少し違和感も感じていた。