やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
第16節:殺し
一時間後、私は、いつも朝食を食べている大部屋にいた。
私の隣には、組長が座っている。
そして、私と組長の前には、笹山組の幹部と組員達が座っていた。
「龍一、幹部は全員揃ったか?」
組長が、部屋の壁際に立ったままの執事に尋ねる。
「いえ、幹部の草壁さんが、どうしても1時間以内は無理で遅れるそうです。」
執事は、感情のない声で答えた。
「そうか。まあいい。それじゃ、草壁抜きで話を始めるぞ。・・・・鮫田組を潰す・・・以上だ。」
組長の言葉に集まった一堂にざわめきが起こる。
「すいません、組長。お言葉ですが、いきなり、鮫田組を潰すと言われましても・・・いったい何のことかわかりませんが?」
幹部の1人が立ち上がり組長に聞いた。