やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
私は、これからのことをもの凄く不安に感じながら、車の後部座席に乗り込む。
私の乗った車には、運転手に見たことのない組員と助手席にサブ、後部座席に執事が乗っていた。
「・・・龍一さん。」
私は、少し震えた声で執事に話しかける。
「大丈夫ですか、小夜さん?」
執事が、私の様子に気づき、心配そうな目で私を見つめる。
「・・・はい。私は、大丈夫ですけど・・・・組長が、いつもと違って怖くて・・・」
「・・・・すいませんね、小夜さん。・・・・組長にとって親殺しは、触れてはいけないタブーだったんですよ。・・・今回の問題も、最初の事故の結果、ヤクザが来たなら、よかったのですが、ヤクザが事故を起こしてとなると組長にとっては、まったく違う問題になってしまうんですよ。」
執事が、震える私の手を優しく、執事の手で包み込む。
「でも・・・組長・・・私の知っている組長じゃない気がして・・・」
「大丈夫ですよ、小夜さん。大和は、大和です。ただ、今は、昔のことを思い出して、ちょっと我を忘れているだけです。」
「昔のこと?」
「はい。・・・・・大和のお母様も、ヤクザに殺されたんですよ。」
執事は、少し悲しそうな声で教えてくれた。