やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・・もし、本当にお父さんとお母さんが、殺されたとしたら・・・・撃ち殺したいと思うかもしれません・・・・・・けど・・・・実際には、私には撃てないと思います。」
私は、よく考えて、言葉を選びながら、答えた。
人を殺すという重みに私の心は耐えられない。
よく考えて出した答えが、それだった。
「それが、普通だよ。人を殺すってことは、自分の心も殺していくことと同じなんだよ。・・・だから、もし、本当に鮫田組が小夜の両親の死に関わっていて、小夜が、どうしても、鮫田組の奴らを殺したくなったら、俺が撃ってやるから、この拳銃は俺が預かるな。」
「わかりました。・・・でも、真木さんが、私の心配までしてくれるなんて・・・雨でも降るんじゃないですか?」
「言っただろ、俺は1万円のためには、どんなことでもするって。」
「あっ・・・ありましたね・・・そんな約束・・・・」
私は、真木ヒナタに言われて、約束をしていたことを思い出した。
「なんだ、その反応は?・・・・はっ、小夜、もしかして、踏み倒す気か!」
「ち、違いますよ!・・・・ちゃんとこれが終わったら、真木さんには1万円払いますよ。・・・・でも、真木さんも自分の心を大切にしてくださいね。」
私の言葉にハッとしたような表情を一瞬だけ見せる真木ヒナタ。