やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・へっ、安心しろ、小夜。もう、俺に殺す心なんて残ってないよ。」
真木ヒナタは、寂しさを含んだ声でつぶやいた。
「真木さん・・・・・・。」
私は、その表情と声を聞かされては、それ以上、真木ヒナタに言葉をかけることはできなかった。
それから、少し後に、組長と執事とその他の組員が、雑居ビルの3階の鮫田組の事務所へと入っていった。
私は、サブと真木ヒナタと一緒に雑居ビルから少し離れた場所で、その様子を見ている。
ビルからは、時折、怒号や何かが壊れる音が聞こえてきた。
「真木さん・・・大丈夫ですかね?」
私は不安そうな表情で真木ヒナタを見た。
「んっ?安心しろよ、小夜。俺が、大和と龍一についていかないことが、それほど危険じゃないってことの証明だろ。」
自信満々で真木ヒナタが答える。