やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・そんなことのために、朝早くに私を起こしたんですか?」
私は、安眠を妨げられ、恨めしそうな表情で真木ヒナタを睨みつける。
「・・・・1万円のことがあるから、マックロクロスケの刑じゃなく、トトロジャンプの刑で許してやったのに・・・」
真木ヒナタも恨めしそうな目で私を見る。
その真木ヒナタの左手には、黒のマジックが握られていた。
「まさか・・・・」
私は、急いでベットから起き上がると、鏡台の前に行く。
「よかったぁ~・・・」
鏡の中の私の顔は、いつもと変わらない顔だった。
「もう、何もこんな朝早くから取り立てにこなくても・・・」
ブツクサいいながら、私は、給料の入った袋の中から1万円を取り出す。
そして、その1万円を真木ヒナタに差し出す。
「はい、約束の1万円です。」
真木ヒナタは、その1万円を受け取らずに、ジッと見つめている。