やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「どうしたんですか?いらないんですか?」
「・・・・うん。1万円は、やっぱりいいや。」
真木ヒナタがつぶやく。
「・・・?・・・どうしたんですか?」
私は、真木ヒナタに声をかけた。
その瞬間、真木ヒナタは、1万円を持っていた右手ではなく、左手に持っていた給料全部が入った封筒をひったくって、逃げ出した。
「えっ?えっ?何?・・・・真木さ~ん!!!!」
私は、すぐに真木ヒナタの後を追いかけ始める。
早朝の屋敷に響き渡る私の絶叫。
「へっ、俺が捕まるもんか!」
真木ヒナタが、追いかける私を馬鹿にして声をかける。