やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「待ちなさい!このくされ○トロ!」
さすがに大金を盗まれた私は、半分我を忘れかけていた。
しかし、私が真木ヒナタに追いつけるはずもなく、真木ヒナタは、あっという間に、私を引き離し、屋敷の玄関へと到達した。
玄関まで、まだ距離がある私を見ながら、悠々と真木ヒナタが「あばよ!」と玄関を出ていこうしてドアを開ける。
ドゴォン~・・・・
ドアを開けた瞬間、もの凄い轟音を響かせながら、真木ヒナタは、頭にゲンコツを喰らう。
「痛いじゃないか~!」
真木ヒナタが、殴られた箇所を手でさすりながら、ドアから入ってきた人物に文句を言った。
「早朝から何を騒いでいるのですか?近所迷惑ですよ?」
ドアから入ってきたのは、執事だった。
「あっ、龍一さん!真木さんが私の給料盗んだんですよ!」
私は、玄関につくとすぐに、執事にチクる。
「あ~、小夜!龍一に言うのは、反則だぞ!」
真木ヒナタは、私を見て叫ぶ。