やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「小夜さん、今日は、あくまで明日のための予行練習ですから、そんなに気負わなくていいですよ。」
そんな私に執事は優しく笑いかけた。
「・・・はい。」
私は、少し真面目な表情を崩し、執事に笑いかけた。
「そうですね。それくらいの方が、小夜さんらしくて魅力的ですよ。それでは、行きましょうか。」
執事は、部屋を出て行く。
私もその大きな執事の背中を見ながら、部屋を後にした。
私は、自分ひとりで化粧をし、着物を着た後で、部屋の外で待つ執事に見せる。
「どうですか?」
「そうですね・・・・・」
執事は、着物姿の私をジックリと私の周りを回りながら見ていく。
「・・・おかしいですか?」
不安そうな表情で執事に尋ねる私。
私にとっては、出来の悪いテストが帰ってきた時のような心境。