やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「まあ・・・その・・・明日もプロの先生をお呼びしてますし、それならば、プロの先生にやってもらった方が・・・と思いませんか?」
歯切れの悪い執事の言葉。
「・・・・そう・・・ですよね。」
てっきり合格かと思い、喜んだ分だけ、失格の落ち込みもひどい私。
「小夜さん・・・次、行きましょうか?」
「・・・はい。」
私と執事は、少し暗い雰囲気で次の茶室へと向った。
「小夜さん、茶道は、急に相手がお茶をしたいと言い出した時のための知識として習っていただいているだけのものですから、ここは気軽にやりましょう。」
執事が、暗い雰囲気の私に気を使い、声をかける。
「・・・はい。頑張ります。」
私は、執事の言葉に気を持ち直し、出来るだけ、元気な声と表情で執事に応えた。
茶室に入ると、そこには、初日以外、この茶室に近寄ろうとしなかった真木ヒナタと着物を着たレナが、すでに座っていた。
「お二人ともどうしたのですか?」
執事が、真木ヒナタとレナに声をかける。