やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・天才ですわ。」
華道の先生は、つぶやく。
「あの~・・・先生?」
先ほどの決め言葉を無視された組長が、華道の先生に声をかける。
「この豪華さの中に負けずに咲く一輪の花・・・・素晴らしいとしか言い様がありません。」
すっかり華道の先生は、自分の世界に浸っていた。
「これ・・・小夜・・・思って・・・刺した。」
笑顔の熊さんが、私を見る。
「・・・ありがとう・・・熊さん。」
複雑な表情で熊さんにお礼をいう私。
だって、熊さんの前にある華は、明らかに私がいつも刺すものとは、レベルが違っていた。