やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
第23節:予行演習2
「失礼致します。」
私は、一声かけて、部屋の中へと入る。
「お飲み物でもいかがですか?」
部屋に入ると、飲み物を組長のお祖母さん役のポチから順に置いていく。
「あら、こちらが、大和の言っている婚約者の小夜さんね?」
完全に組長のお祖母さんになりきっているポチ。
「そ、そうなんだよ。か、か、か、かわいいだろ。」
執事に渡された紙を凝視して、棒読みで読むサブ。
「こんな小汚い小娘が、かわいい?・・・まったく、美的感覚のなさは、誰に似たんだろうね。」
ポチの言葉に一瞬、私の動きが止まる。
(・・・・小汚い娘?・・・台本に書いてあるの?)
素朴な疑問が浮かぶ私。
でも、私の練習だから、私が動きを止めるわけにもいかず、そのまま続ける。