やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
第2章:ラブ&レース
第1節:始まり
私達が待つ門の前に3台の黒塗りベンツが止まる。
まず最初に1台目のベンツの後部座席から男が降りてきて組長の前に歩いてきて、頭を下げる。
「組長、この間の鮫田組の件につきましては、召集にも関わらず、来ることが出来ず、申し訳ありませんでした。」
「いいよ、草壁。あれはどちらかと言うと、俺の方が入れ込み過ぎたってところだ。ところで、華木組まで迎えに行ってくれたんだって?お疲れだったな。」
組長が、頭を下げた男をねぎらう。
「ところで、組長の横に立たれているこちらのお嬢様が、もしかして、噂の組長の婚約者と言われている方ですか?」
「ああ、そうなんだ。草壁は、会ったの初めてだったか?」
「はい。色んな噂だけは、聞こえてきましたが。」
男は、組長の前から私の前へと歩いてくる。