やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「そのつれなさも相変わらずだね。」
初老の女性が、苦笑いを浮かべて、執事の前から私の前へと歩いてきた。
「・・・・・・・アンタが、大和の婚約者かい?」
初老の女性は、私を頭から足元までジックリと見てから声をかけてくる。
「あ、はい。初めまして。私は、大和さんの婚約者の三河小夜です。宜しくお願い致します。」
「そうかい。アタシが、一応、大和の祖母になる笹山静代だよ。・・・・それにしても、アンタ若いね。いくつだい?」
「はい。16歳です。」
「16歳!・・・アンタ、そんな若い歳で結婚すると後で後悔するよ。・・・・しかも、こんな馬鹿と。」
横目で組長を見ながら、私に話しかけてくる静代。
「大丈夫です。大和さんは、優しくて立派な方ですので。」
私は、練習してきた満面の笑みを浮かべて静代を見た。