やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
第2節:話し合い
「失礼致します。」
私は、人数分の飲み物の入ったコップをお盆に乗せて、部屋に入る。
部屋の中は、微妙な緊張に包まれていた。
「どうぞ。」
私は、順々にコップを置いていく。
そして、置き終わったところで、組長の横に腰を下ろした。
「で、どうするんだよ。大和には、え~三河小夜っていう立派な婚約者がいるんだから、アンタみたいな小娘の出る幕じゃないんだよ。」
静代が、葵を見る。
「御婆様は、そうおっしゃいますけど、私の大和様への愛は、誰にも負けませんわ!婚約者の一人や二人、お金で解決してみせます。」
堂々と汚いことを言い切る葵。
「・・・アンタ、お金でっていうけどね、女は、お金を出すものじゃなくて、お金を出させるものなんだよ。」
静代が、葵を呆れた表情で見る。
しかし、その説教は、微妙にずれていた。