やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「関係ありませんわ。大和様の目がお覚めになるなら、1億や2億のお金、この華木葵、惜しみはしません。」
「お嬢様、ご立派です。」
拍手をしながら、葵を盛り立てる椿 麗子。
しかし、椿 麗子以外の人は、みんな、葵の言い草を呆れた様子で見ていた。
「・・・・ババァ、これは、いったい、どういうことだよ?」
先ほどから渋い顔をしていた組長が口を開いた。
「どうって、見たまんまだよ。何をトチ狂ったのか、うちの葵が、大和と結婚するって言い出したのさ。・・・・アタシは必死で止めたんだけどね。見ての通りで。」
疲れた口調の静代。
「ババァが、言い出したことじゃないのかよ?」
「何でアタシが、かわいい葵を不幸になることがわかっているアンタなんかに嫁がせなきゃいけないんだよ?」
組長と静代が、テーブルを挟んでにらみ合う。