やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「そうだよな。小夜なら大丈夫だよな。・・・・ところで、普通のスーパーで売っている牛肉に愛情を込めたら、松坂牛に勝てると思う?」
不安そうな表情で私を見るサブ。
「か、勝てるんじゃないですかね。愛情は偉大ですから・・・・・」
サブと目を合わせずに答える私。
「だ、だよなぁ・・・・愛情は偉大だもんな・・・・それじゃ、俺、もう、行くわ。」
凍った笑いを浮かべたまま、サブは、厨房を出て行った。
「熊さん~!どうしよう~!いくら愛情を込めてもスーパーの牛肉が、松坂牛に勝てるわけないよ~!」
サブが出て行って、すぐに熊さんに本音で泣きつく私。
「?・・・・愛情・・・・勝てないの?」
「熊さん、何言ってるの!愛情じゃ無理!松坂牛の前では、愛情なんて儚い夢のようなものなんだよ。」
「俺・・・・勝てる・・・・思う・・・・」
少し恥ずかしそうにはにかむ熊さん。