やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「く~ま~さ~ん、無理だから~。」
私は、泣きそうな顔で熊さんを見た。
その時、再び、厨房のドアが開いた。
見ると、入り口には執事が立っていた。
「叫び声が外まで響いてきてましたけど、お二人で何を騒いでいるのですか?」
私は、すぐさま、執事の目の前に行き、執事の服を軽く掴みながら、泣きつく。
「聞いてくださいよ、龍一さん。松坂牛には、愛情じゃ勝てないんですよ!」
「・・・・?あ、あの小夜さん、意味がまったく分かりませんから、わかるように落ち着いて説明していただけますか?」
半分泣きべそをかいている私の髪を右手で優しく撫でながら、私を落ち着かせようとする執事。
私は、サブから聞いた内容の事を執事に説明する。