やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「そうなんですか・・・龍一さん、凄いんですね。」
私は、そんな味噌を簡単に手に入れてしまう執事を尊敬の眼差しで見つめる。
「小夜さん、この程度の人脈。執事としては、当然の能力です。」
どことなく恍惚とした表情で答える執事。
「・・・・何かそういう人脈を手に入れる方法ってあるんですか?」
私は、執事に尋ねた。
「人脈を手にいれる方法というか・・・種明かしをすれば、何度かこの味噌を作っている老人に会いに行って仲良くなっただけです。」
お茶目に笑う執事。
どうやら、少しナルシストっぽく恍惚とした表情をとったのは、執事の冗談だったらしい。
「そうなんですか。・・・・それじゃ、私でも長野県の山奥まで行けば、その老人と仲良くなれますか?」
「・・・・・小夜さんには、難しいかもしれませんね。」
「何でですか?」
「残念ながら、ただ仲良くなるだけでは、この味噌は、送ってもらえないんですよ。交換条件として、鹿児島産の幻の焼酎を送ることを条件に特別に融通してもらっていますので。」
「・・・幻の焼酎ですか?」
「そうです。まだ16歳の小夜さんがお酒を買うのは難しいですし、しかも、その幻の焼酎は、生産数が少ない上にほとんどを鹿児島県内で消費してしまうために、ほとんど鹿児島県外には出てこない、まさに幻の焼酎の名に恥じないものです。」
「・・・・・龍一さんは、それをどうやって手に入れているのですか?」
私は、不思議そうな表情で執事を見る。
「幻の焼酎ですか?焼酎は、毎年、秋に北海道で取れる鮭の最高級品であるケイジを送ることで特別に融通して貰っています。」
「・・・・今度は、北海道・・・」
私は、頭が痛くなってくる。