やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・あっ、これは、これは、アッシの前のボスの小夜姉さんじゃありませんか。」
わざとらしい話し方のポチ。
「・・・どうしたんですか?」
「いやぁ~、アッシの前のボスは、アッシの言葉を全然信じてくれないイヤ~な奴でしてね。この際、乗り換えちゃおうと思いまして。・・・あっ、アッシの前のボスって、小夜姉さんでしたっけ。」
とことんむかつくポチの言動。
「・・・・そうですか。」
平然と聞き流す私。
「アッシのような策士がいなくなって後悔しても、もう遅いですよ。さ・よ・姉さん。」
ムカツク顔を私に近づけてくるポチ。
「・・・・・ポチさんの策でまともな物なかったような気が・・・」
ポチのムカツク顔を直視しないように話す私。
「ふっ、強がっちゃって。・・・・残念ながら、この葵お嬢様に策士ポチの頭脳がつけば、もう小夜姉さんに勝ち目はありませんよ。」
自信満々に私を見下すポチ。
「残念でしたわね・・・この笹山組の頭脳と呼ばれているらしいポチが私に味方になっては、あなたに勝ち目はありませんわ。私、本当にあなたのような人望のない人を気の毒に思いますわ。その点、この葵は、人望がありすぎて、ありすぎて、勝手に優秀な人材が集まりすぎて困ってしまいますわ。」
これ以上ないくらいの見下し方の葵。