やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「それでは、最後に組長お願い致します。」
執事が、組長を見る。
「よし、任せろ!」
組長がその場に立ち上がった。
私は、心の中で、(大丈夫よ、小夜。組長の好きな料理作ったんだから。)と何度も自分に言い聞かせる。
「今回は、みんな・・・・みんな?・・・・まぁ、いい・・・・・とりあえず、みんな、俺のために一生懸命料理を作ってくれてありがとう。心のこもった料理は、どれも・・・・どれも?・・・・まぁ、いい・・・どれも、美味しかった。その中で俺が、一番に選ぶのは・・・・・」
組長は、ここで、一息ついた。
全員の視線が、組長に熱い視線を送っている。
その熱い視線を組長が確認して、そして、言った。
「レナだ!」
ワワワァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!
凄まじい歓声が屋敷中に響き渡る。
(・・・・・・あっ、負けちゃった・・・・)
組長の言葉を聞いた瞬間、私は、肩を落とす。
「それでは、第1戦、料理勝負の勝者は、レナさんです。」
執事の勝ち名乗りを私は、どこか、気の抜けた感じで聞いていた。