やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・すいませんでした、龍一さん・・・」
私は、直接、執事の顔を見ることができずに、下を向いたまま、謝る。
「?・・・何のことですか、小夜さん?」
執事は、なぜ私に謝られたのかわからないといった表情で私を見た。
「えっ・・・・大事な勝負に負けちゃったから・・・」
私は、落ち込んだ声でつぶやく。
「小夜さん・・・・」
執事は、いきなり、落ち込んで下を向く私を優しく抱きしめた。
「・・・・・・りゅ、龍一さん?」
驚いて、執事に抱きしめられたまま、石のように固まってしまう私。
「小夜さん・・・小夜さんの作った味噌汁は、本当に美味しかったですよ。あれほどの愛情のこもった料理を食べさせてもらえただけで私は満足ですよ。」
執事が、私を抱きしめたまま、優しく温かい声で私にささやきかける。
「龍一さん・・・・」
私は、うれしくて、抱きしめられたまま、執事を見上げる。
そして、執事の視線と私の視線が交わった。