やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
それを聞いて、なんとなく気が抜ける私。
「・・・賭けって何ですか?」
スタートラインで並んでいた私に隣に立っていたレナが聞いてきた。
「・・・え?・・・あっ・・・何でしょうね?」
今朝、真木ヒナタからレナとのことを聞いた手前、これ以上、真木ヒナタの印象が悪くなることをいうのは、いけないと思い、レナには、賭けのことを知らないフリをした。
「フッ!賭けなんて成立するわけありませんわ!みんな私に賭けるに決まってますから!」
どこまでいっても、自信満々の葵。
しかし、これを、ポチのような人が言ったら、殺したくなるかもしれないけど、葵の外見は、私より背が低い上に1歳だけど、年下。
私は、葵の生意気な態度もどこかかわいく感じていた。
「それじゃ、スタートするぞ!」
真木ヒナタが、朝礼台のような物の上にあがる。
「いちについて・・・・用意・・・・・」
バァ~ン!!
雲ひとつない空に轟音を響かせて、障害物レースが始まった。