やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
(このままじゃ、負けちゃうよ!!!)
私は、仕方なく、ポチを気遣い、やらなかった方法を行動にうつした。
「・・・・ポチさん、ごめんね。」
ポチに一声かけておいて、つかまれてない足のカカトで思いっきり、私の足を掴んでいる腕めがけて振り下ろした。
「ギャァ~!!!!」
もの凄い悲鳴と共に私の足を離すポチ。
マットの上でのたうち回るポチ。
そんなポチを放っておいて、私は、急いで、葵を追いかける。
ゴールまでは、残り50メートル程度。
見ると、もうゴールまで、障害物はなかった。
3メートル私の前を走る葵。
必死に追いかける私。
葵と私では、少しだけ、私の方が走るのは早かった。
ゴール20メートル前で葵と並ぶ私。
一瞬だけ、お互いの視線がぶつかり、火花を散らす。
ここから10メートル、葵も必死に私についてくるが、いかんせん、元の走力が違った。