やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】
「・・・・組長?」
恐る恐る、組長の顔を見た。
「んっ?どうした?・・・まったく、困ったもんだよな。こんなところでも、営業するなんて。普段ならいいけど、今日は無理に決まってるじゃないか・・・なぁ、小夜。」
予想以上に冷静な組長。
「・・・・ははは・・・そう・・ですね。」
私の乾いた笑いが部屋にむなしく響いた。
「あっ、もう、時間ないぞ。小夜も、早く教会に行けよ。」
組長は、鏡をみて、最後のチェックを始めた。
「・・・はい。」
策の破れた私は、もう、出来ることといえば、ただ、素直に教会に行くことだけだった。